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弱すぎた俺を赦さないで よ

晴れすぎだって位に真っ青な空の下。 
雑草や細い木々しか生えていないような、砂漠の一歩手前の場所で俺は死んだ相棒と再会した。
目の前には俺じゃない誰かが作ったんだろう。
風雨にずっとさらされ続けてボロボロになった木の十字架が立っている。
あの時俺はただ砂で埋めて棒を一本突き刺しただけだったから。
今日此処に来たのは全てが終わったからだ。この世界を一回りするという旅。
一回りしたら何か変わると思っていたけれど、思っていた以上に何にも変わらなかったようだ。
人生ってそんな物なんだろうな。
今此処で、お前が好きだった赤いダリアを添えたからってお前はまだ赦さないのと一緒だ。
何年前だったんだろうな?一回りする事に必死で、覚えていた筈の時期も忘れてしまったようだ。
弱虫だったお前の世界を一回りする夢に惹かれて、共に旅に出たんだったな。
何もかもが知らない事ばかりで楽しかった気がした。
その“無知”がまさか俺達を引き離す事になるなんて思わなかった。
この場所は、今はもう大丈夫らしいが盗賊が良く出没するスポットで。
それを知らなかった俺達は、そこに踏み入り一人の盗賊に襲われた。
俺は弱虫なお前を守るべきだった筈なのに、目を切りつけられてしまった。
もがく俺に盗賊は更に攻撃を仕掛けてきたのに、その攻撃をお前は受けた。
盗賊は殺すつもりはなかったんだろうな。
お前のその出血量を見て死んだと思ってすぐに逃げやがった。
その時は死んでいなかったのに、な。
だがあるだけの道具で手当てをしても、近くの町まで運んでも間に合わないのは目に見えていた。……俺はお前を殺してしまったのも同然だな。
この墓だって、もっと立派に作ってやりたかったさ。
お前を守り切れなかった俺よりも、俺を守り切ったお前は強いのに何故死んだんだ。
俺なんかどうでも良かったなんて言ったら怒るんだろうけど、そう思った事もあった。
だからせめてもの罪滅ぼしとして、お前の夢は俺がしっかりと叶えないと、って思って。
そして漸く達成した。だが、それでも俺はまだ弱いままだ。
少しは強くなったとしても、お前よりはまだ弱い。そんな人間だ。
だから頼む。空に溶けてしまったお前に、これだけはどうしても言いたい。
俺があの時強ければお前を守れた。死なずに済んだ。だから俺を赦すなんて思うな。
夢を達成した時、これだけはどうしても言いたかったんだ。




お題「弱すぎた俺を赦さないで よ」
配布元:選択式御題
文字数:968

意外と1000文字難しいorz 一応簡単な説明をすると……
旅に出た主人公とその相棒。
相棒を守り切れずに主人公は相棒を亡くし、相棒の分まで旅を続ける。
そして目的を果たした主人公は、相棒の墓前の前で言いたかった一言を言う。

という重いなあ、と言う話。詰め込みすぎました。
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